介護業界の平均採用単価はいくら?採用コストを削減できる5つの方法
高齢化が進む日本において介護業界は年々、市場規模が拡大しているといわれています。
施設利用者の増加にともなって「介護士を増やしたい」と考えている採用担当者もいるでしょう。
この記事では採用単価を抑えながらも、効率よく施設の希望に沿った介護士の人材に出会うための方法を紹介します。
介護業界の採用単価の平均相場
求人募集する際に発生する費用は主に2パターンあり、主に掲載自体に費用がかかる「掲載課金型求人」と、応募がきた際や採用が成功した際に費用が発生する「成功報酬型求人」です。
ここではそれぞれの平均採用単価を見ていきましょう。
掲載課金型求人の平均採用単価
「掲載課金型求人」とは、求人広告をメディアに出す時点で費用が発生する方法です。
金額は求人広告を掲載する位置、大きさ、期間などで変わってきますが、何人採用しても、費用に変動はありません。
採用人数が増えれば増えるほど採用単価は安く抑えられますが、1人も採用できなかった場合でも費用がかかる点がデメリットです。
掲載課金型求人の平均費用は10万円〜100万円ほどといわれており、新聞の折り込み広告は1万円〜20万円が相場となっています。
成功報酬型求人の平均採用単価
「成功報酬型求人」では応募があった際に費用が発生する「応募課金」の場合には数千円〜3万円ほど、採用まで至った際に費用が発生する「採用課金」の場合には、10万円〜100万円が一般的な金額となります。
成功報酬型求人では初期費用がかからず、あらかじめ設定した条件に到達した場合に費用がかかる手法のため、希望する採用人数が少ないときにおすすめです。
介護業界が抱える問題と採用単価への影響
内閣府が発表している「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、日本の総人口のうち65歳以上は28.9%と、高齢化が進んでいます。
さらに令和18年には65歳以上人口が33.3%となることが予想され、国民の3人に1人が65歳以上になるといった急激に高齢化が進む社会的な背景から、介護業界は拡大していくといえるでしょう。
厚生労働省は2025年度には約243万人の介護士が必要になることを予想しており、さらに約32万人もの人材確保が必須と発表しているように業界が拡大し人材の確保が急がれる一方で、公益財団法人 介護労働安定センターの調査によると、6割を超える施設で人材不足を感じていると回答があるように、多くの介護施設が採用に苦戦しているのが現状です。
介護業界が採用難となっている主な理由と、採用単価への影響をみていきましょう。
介護施設の需要が増えている
有料老人ホームは令和2年において、5.4%増加するなど、介護施設はこれからも増加していくと新設された介護施設で働く人材が必要となり、求人募集が必須です。
全人口における後期高齢者の割合が高まっており、そのため介護施設の需要が増えていることも介護業界の慢性的な人材不足の原因となっているようです。
人材不足になればなるほどひとりの求職者を探して採用するのにコストがかかるため、結果的に採用単価が上がってしまうでしょう。
介護業界の人手が足りない
介護業界に人材が集まりづらいのは「低賃金かつハードな労働環境」というイメージがあるというのも理由のひとつと考えられます。
令和3年度の介護労働者所定内賃金は244,969円と、前年度より1,834円増加していますが、厚生労働省が発表する「令和3年賃金構造基本統計調査」によると一般労働者の平均月収は307,400円となっており、介護労働者の月収は平均月収よりも低いことがわかりました。
また、介護施設によっては夜勤やシフト勤務などの変動する勤務形態が採用されており、通常の業務で疲弊することはもちろん、勤務形態が安定しないこともハードな労働環境に拍車をかけています。
介護を受けている人とのコミュニケーションだけではなく、被介護者の家族とのコミュニケーションも必要な職場であるため、人間関係に悩む介護士も多いようです。
このような職場環境やイメージから介護業界を敬遠する求職者も多く、求職者数と施設が求めている人材数に差が出てくるため、採用単価が上がるひとつの要因となっています。
離職率が高い
介護労働安定センターの調査によると、介護職の離職率は14.1%と、全産業の平均離職率13.9%を上回っています。
2019年度をのぞいて、全産業の平均離職率を上回っているものの、介護業界の離職率は2010年と比較して2021年は3.7%も改善しているため、少しずつ労働環境が良くなり、働きやすい職場になっていることがわかりました。
採用コストをかけたにも関わらず、採用した求職者が離職してしまっては、労力と費用が無駄になってしまいます。
他業種に比べて高い離職率も、介護士の採用単価が上がる傾向に拍車をかけているといえるでしょう。
介護士の採用単価を抑える5つのポイント
人材確保が難しく、採用後も定着しづらい介護業界ではありますが、採用単価もなるべく抑えたいのが採用担当者の本音でしょう。
ここからは採用単価を抑える5つのポイントを紹介します。
採用方法を見直す
まずは現在の採用方法を見直すところから始めましょう。
採用のための業務と費用をすべて洗い出し「ただコストがかかっているだけ」の業務を再検討してくことが大切です。
掲載課金型の求人広告を出しているものの、こちらから求職者に連絡をし忘れていたり、もう必要のないポジションの広告を出し続けているなど、採用方法を見直すと削減できるコストが見えやすくなります。
費用面だけではなく、採用のためにかけている工数を洗い出したり手間がかかっているだけで採用効率が良くないものを再検討しましょう。
少しでも削減できるコストを見つけていくことが、採用単価の削減につながります。
採用のミスマッチを防ぐ
費用と労力、時間をかけて採用したものの、その人材が定着しなければ費やしたコストは水の泡となってしまうでしょう。
求人票を作成する際、曖昧な表現や専門用語を使ったり、最低限の情報のみしか記載しなかったりすると、求職者の認識と企業の伝えたいことに相違が起きやすくなります。
誰が読んでも理解できるように、自施設の雰囲気や仕事内容、勤務形態を具体的にわかりやすく記載することが大切です。
求人票や自社採用サイトなどに自施設について詳しく情報を掲載しておくことで、ある程度自施設について理解した上で応募してもらえるため、採用してからの「こんなはずじゃなかった」といった採用後に起きやすい双方のミスマッチを防げます。
面接の前後に自施設に見学にきてもらうと、実際の職場の雰囲気や利用者と介護士のやり取り、業務内容が伝わりやすくなり、ミスマッチ防止にも効果的なため、おすすめです。
自社サイトを強化する
自社サイトとは自施設で運営するホームページを指します。
施設の概要やアクセス、施設方針などを盛り込んだオリジナルのサイトは、利用者の家族だけでなく求職者も見る大切なコンテンツです。
求職者は面接前や応募前に、施設の名前を検索にかけて調べることがほとんどであるため、施設のサイトが頻繁に更新されていると雰囲気や内情が伝わり、ミスマッチを防げるだけではなく、良いイメージももってもらいやすいでしょう。
求人広告には収まらない情報を記載できることも自社サイトの強みです。
施設の方針や施設長のメッセージ、行事に関するコンテンツを掲載すれば、求人広告以上に施設の魅力と雰囲気を伝えられます。
GoogleやYahoo! などの検索エンジンの検索結果に表示されることで、求人サイトを経由せずに直接応募も見込めるため、エージェントや求人サイトに支払う費用を抑えることにもつながります。
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【採用力強化に不可欠!自社採用サイトのメリット・デメリットと必要性】
リファラル採用を活用する
リファラル採用とは、自施設の社員から知人を紹介してもらう採用方法を指します。
介護学校を卒業して介護士になったスタッフは、同期や先輩とのつながりがあるため、経験者や資格者を紹介してくれる確率が高いでしょう。
知人紹介制度を設けることで求人広告費を削減できるうえ、その紹介で入社する求職者は早期離職につながりづらい傾向があるため、離職率の低下が期待できます。
知人を紹介したくなる職場づくりをしながら、採用に至ったら求職者と知人にインセンティブを渡すリファラル制度を設けても良いでしょう。
助成金を利用する
厚生労働省が出している、雇用のための助成金を利用するのも採用コストを削減するひとつの方法です。
支給条件や金額、申請期限は細かく決まっていますが、返済の必要はなく、申し込みが通ればその費用をすべて、採用のために使うことができます。
介護業界では、「特定求職者雇用開発助成金」、「65歳超雇用推進助成金」、「トライアル雇用助成金」が利用できますが、それぞれ条件が異なりますので厚生労働省のホームページで確認しましょう。
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介護士の採用単価削減におすすめの採用サービス
ここからは介護士の採用単価を抑えるのに役立つ採用サービスを紹介します。
どのような選択肢があるのかを知り、そのなかからより最適なサービスを選びましょう。
介護に特化した求人サイト
介護に特化した求人サイトでは、介護士ならではの知りたい情報を記載できることが多く、介護職で就職や転職を考えている求職者と出会いやすいのがメリットです。
カイゴジョブ
2022年2月時点で累計会員数140万人を超えている「カイゴジョブ」では、多くの人の目に触れる求人広告を出せるため、まずは色々な人と面談してみたいという施設におすすめの求人サイトといえます。
求職者は応募前に仕事内容や応募資格についての質問をすることができ、電話でのサポートもあるため、採用後のミスマッチを減らしやすいサービスが特徴です。
介護ワーカー
面接の日程調整や、条件交渉などはサイトの担当者が行ってくれるため、やり取りもスムーズで、採用担当者の工数も減らせることが魅力となります。
完全成功報酬型のため、初期費用がかからないのも嬉しいポイントです。
また採用が決まった後、保証期間内に退職した場合には紹介手数料の一部を返金してくれる制度もあるため、少ない人数を確実に採用したい施設におすすめといえます。
ジョブメドレー
国内最大級の医療介護求人サイト「ジョブメドレー」は月間2.8万人もの新規登録者がいる大手求人サイトです。
無料で掲載でき、掲載期間も無制限と良心的なサービスがあり、成功報酬型のため、じっくりと求職者を探したいときにおすすめのサイトといえます。
会員登録をしている求職者に向けてスカウトメールを送り、こちらからアプローチをできることも特徴のひとつです。
無料で毎月200通まで送れるため、ただ待っているだけの採用から脱却できます。
介護に特化した求人サイト
求人に特化した検索エンジンは無料で始められるため、採用コストをかけられない施設でも取り入れやすい手法です。
すでに自社の採用サイトや、求人サイトで出している情報を使うことができるため、原稿作成などの手間がかかりません。
ここからは、求人検索エンジンを紹介します。
Indeed(インディード)
1ヶ月あたり4000万人もの利用者がサイトを訪れている国内最大級の求人検索エンジンです。求人件数も多く、SEOに強いため人気となっています。
利用者は職種、勤務地、雇用形態、給与形態などを絞り込み検索できるため、人材紹介が少ない地方の採用にも活用することが可能です。
Indeedは閲覧者がその求人をクリックしてはじめて費用がかかる「クリック課金型」で、クリック単価は15円〜とリーズナブルな金額ですが、固定の費用で運用することは難しく、コストが流動的になることは否めません。
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求人ボックス
求人件数1000万件以上の「求人ボックス」は、「食べログ」や「価格.com」などのプラットフォームを運営しているカカクコムが運営しています。
ユーザー視点で使いやすいサイト設計が人気の求人検索エンジンで、勤務形態や地域などにこだわらず幅広い情報が載っていることも特徴のひとつです。
クリック単価は25円〜ですが、競合と利用者数がIndeedに比べて少ないため、実際の採用につながるクリックが多く、採用コストを抑えられるといわれています。
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採用サイト作成サービス
より希望に合う求職者と出会うためのツールとして、施設のホームページとは別に、採用に特化したサイトを作成することもあります。
一般的な求人サイトでは、介護士ならではの知りたい情報を盛り込めないことが多く、自施設の採用サイトがあれば自由に記載することが可能です。
採用サイトを見てから応募してもらえれば、採用のミスマッチを防ぐ効果がより期待できるでしょう。
ここではサイト作成経験のない採用担当者でも簡単に運用するための、採用サイト作成サービスを紹介します。
トルー
月額1.5万円から利用でき、なおかつ丁寧なサポートが人気の「トルー」は、ドメインの取得からサイト集客、応募者の管理もできる採用サイト作成サービスです。
サイト内の指示に従って文字や写真をいれるだけで自社サイトを作成でき、編集や更新も簡単にできます。
主要な検索エンジンと自動で連携するため、「サイトを作ったものの閲覧がない」という状況にはなりません。
担当者がサイト運用についてはもちろん、求人の改善ポイントまでアドバイスしてくれるため、採用担当者がいない施設にもおすすめです。
iRec
テンプレートを使用し、採用サイトが作れる「iRec」では、最短2週間ほどで素早くサイトを立ち上げることができます。
自動で最適なスマートフォンに対応したページを作成してくれるなど、専門知識がなくても使いやすいサイト作成ツールです。
まとめ
採用が難しく、人手不足の介護業界ではありますが、だからこそ便利なツールやサービスを利用し、採用単価を抑えながら効率よく採用活動を進める必要があります。
この記事を参考に効率的な採用活動を行いましょう。
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