飲食業の採用単価の平均とは?採用コストを抑える方法も解説
近年、少子高齢化による労働力人口の減少や採用の売り手市場により、有効求人の倍率が高くなっています。
そのため、採用活動がうまくいってない企業が増加傾向です。
飲食業界でも同様に「なかなか募集がうまくいっていない」、「採用に費用がかかってしまっている」という飲食業の方も少なくないでしょう。
採用活動を改善するには採用にかかる費用である採用単価を把握することが重要です。
この記事では、飲食業界の採用単価の相場から効果的な求人募集方法までくわしく解説します。
飲食業界の平均採用単価と計算方法
「飲食業界の採用の費用ってどのくらいなの?」という疑問を持つ方は少なくないでしょう。
まず採用にかかる費用を把握する上で重要なのが、採用コストと採用単価です。
ここでは飲食業界の採用単価と、採用コストと採用単価の違いから、それぞれの計算方法について解説します。
飲食業界の平均採用単価
採用単価は、業界の人気度によって異なるのが一般的です。
人気が高いとその分だけ応募が集まりやすく、採用単価は低くなる傾向にあります。
飲食業界の場合は比較的、人気のある業界と言われており、採用単価は約50,000円です。
介護士の採用単価が約101,000円、塾講師が73,000円といわれているため、飲食業界は比較的に採用単価が低いといえるでしょう。
採用単価の計算方法
採用単価とは1人雇うためにかかった費用のことです。
採用コストを採用人数で割ることで計算でき、例えば10人採用するために10万円かかったとしたら、採用単価は以下のように計算できます。
100,000円÷10人=10,000円 |
この場合、採用単価は10,000円になるのです。
採用単価と採用コストの違いと計算方法
採用単価は1人を採用するのにかかる費用ですが、一方で採用コストとは、全員を採用するためにかかった諸々の費用の総額を意味しています。
採用コストに含まれるのは主に2つで、内部コストと外部コストです。
内部コストには、採用するためにかかった社員の人件費や交通費などがあり、一方で外部コストは社内以外でかかったコストで、例えば求人広告の掲載費用が挙げられます。
採用コストは内部コストと外部コストの総額になるため、採用単価を下げるためには、採用コストで何にどのくらいかかっているのか洗い出し、把握することが必要です。
採用コストの計算方法
採用コストの計算式は、「内部コスト+外部コスト=採用コスト」です。
次に内部コストと外部コストのそれぞれの計算方法について把握しましょう。
内部コストには、採用業務における社員の人件費や交通費、出張費があげられます。
そのため内部コストの計算式は、「(例)社員の人件費・交通費+出張費=内部コスト」です。
外部コストは採用活動において社外でかかった費用で、例えば採用会場の施設費、求人広告の掲載費などが挙げられます。
そのため外部コストの計算式は、「(例)採用会場の施設費+求人広告の掲載費=外部コスト」です。
飲食業界の現状と人材確保のためにすべき3つのこと
新型コロナウイルスの影響によって飲食業界の方には「新型コロナウイルスで他の飲食店はどうなっているの?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。
ここからは、飲食業界の今の状況と人材を確保するための方法を3つ紹介します。
飲食業界の現状
新型コロナウイルスの影響で思うように営業ができず、人件費削減のためスタッフを減らした飲食業界のお店は多いです。
しかし規制の緩和により、現在は採用が追いつかず人手不足に悩まされている飲食業界の方もいるのではないでしょうか。
帝国データバンクによる2022年8月調査の「人手不足に対する企業の動向調査」によると、正社員においては、企業の49.3%で正社員が人材不足となっており、どの業界でも正社員が不足している状況です。
特に飲食店に関しては、正社員が不足している企業の割合が60.3%と他の業界と比べても高い割合となっています。
また同様にアルバイト・パートなどの非正規雇用においても、企業の29.1%と3社中1社の割合で人材不足であり、特に飲食店の中でも非正規雇用の人材不足の割合は最も高く、76.4%とほとんどの飲食店で非正規雇用の人材不足が起こっているのが現状です。
飲食店の非正規雇用の人材不足の数字に関しては2022年1月の「人手不足に対する企業の動向調査」から少しずつ悪化しています。
よって、飲食業界は他の業界に比べても人材不足の割合が高く、とりわけ非正規雇用の人材不足においてはかなり深刻であるといえるでしょう。
人材確保のために今すべき3つのこと
飲食店の正規雇用や非正規雇用においても人材不足を解決するためには、採用活動を計画的に練ることが重要です。
今すべきこととして、以下の3つが挙げられます。
・年間の採用人数を決める |
ここからは、上記の3つの方法についてそれぞれ詳しく方法について説明します。
年間採用人数を決める
年間の採用人数を決めることは、求人の方法を決めたり採用しすぎたりしないためにも重要です。
全体の年間の採用人数を決めるには、まず各店舗ごとにどのくらいの人数が必要なのか洗い出す必要があります。
その際に重要になるのが、店舗全体で平均してどのくらいの人材が残っているのかを示す平均在籍者数の算出です。
平均在籍者数の計算方法は以下のようになります。
(期初めの在籍者数+期末時点の在籍者数)÷2=平均在籍者数 |
例えば、期初めの在籍者数が100名、期末時点の在籍者数が80名の場合、
(100名+80名)÷2=90名 |
平均在籍者数は90名です。
次に店舗全体でどのくらいの割合でスタッフが辞めているのか、離職率を出しましょう。
離職率は先ほど出した平均在籍者数を使用して出すことができ、計算方法は以下の通りです。
年度初めから1年間の離職者数÷平均在籍者数×100=離職率 |
例えば先ほどの期初めの在籍者数が100名、期末時点の在籍者数が80名、離職者数20名、平均在籍者数90名の場合、
20名÷90名×100=約22.2% |
離職率は約22.2%となります。
ここから年間で必要な採用の人数を計算しましょう。
年間必要採用人数の計算方法は、離職率とオペレーションに必要な在籍必要人数、店舗数を考慮し、以下で計算できます。
在籍必要人数×離職率(前年度)×店舗数=年間で採用が必要な人数 |
例えば、店舗ごとに必要な人数が4名で店舗数が10店舗の場合、
22.2%×4名×10店舗=約8.9名 |
この場合、年間で採用しなければならない人数は8名~9名となるのです。
採用したい時期を決める
採用活動には時間がかかります。
採用募集を開始してから採用に至るまでの期間や、採用してから戦力となるまでに要する研修・訓練期間を考慮する必要があるため、それらの期間を考慮したうえで採用する時期を決めることが重要となるでしょう。
つまり、採用時期の決め方は以下の通りです。
繁忙期(月)− 研修・訓練期間(月)− 採用確定に至るまでの機関(月)=最低でも採用を始めなければいけない時期(月) |
例えば、繁忙期が9月、研修・訓練期間が2か月間、採用確定までの期間が1か月を要するのであれば、
9月−2か月−1か月=6月 |
最低でも6月からは採用活動を始めなければならないことになります。
飲食店の繁忙期や研修期間などを考慮して、採用する時期を決めましょう。
採用したい層を決める
自店舗の適切な人材を確保するためには、自身の飲食店でどのような人材が欲しいのか、採用したいターゲット層を明確にする必要があります。
店舗の人材の現状に応じて、どういった年代の人物でどういったポジションが必要なのかを洗い出すことが重要です。
この2つの要素を組み合わせて、採用したい人物像をイメージしましょう。
例えば20代のアルバイトが2名、店長クラスのスタッフをまとめる30代の1名の社員が不足している場合でさらに20代後半、30代後半の人材が少ない場合は、以下のような人物がターゲット、採用すべき人数となります。
20代のアルバイトが2名、店長クラスの30代の社員+20代後半、30代後半の人材が少ない=20代後半のアルバイトスタッフ2名と30代後半の店長候補者員を1名の採用を採用する必要がある |
効果的な4つの求人募集方法とメリット
人材が不足している飲食店の方は「どうやって求人を募集すればいいのかわからない」、「おすすめの求人募集の方法を知りたい」と思う方も少なくないでしょう。
ここでは飲食店において効果的な求人募集の方法4つと、それぞれの良い点を説明します。
自らの店舗で募集する
自店舗で募集する方法は主に2つあり、自店舗内でチラシを使用し募集する方法と自店舗の採用サイトを使用する方法です。
自店舗で募集するメリットは、自店舗のものを使用し外部に頼らないことでコストや手間を抑えることができることが挙げられます。
また実際に来る人が求人のチラシやサイトを目にすることで、店舗のイメージができていたり、近隣に住んでいるなど自店舗と親和性の高い応募者が期待できるでしょう。
人材紹介会社を利用する
人材紹介会社を活用することは、人材紹介と紹介予定派遣があります。
人材紹介では、既に料理長や店長などの経験のある人材を紹介してもらえるため、採用に求める経験や優秀なスタッフを募集するのに向いています。
また、紹介予定派遣では、まずは店舗に採用候補で、派遣スタッフとして勤務してもらい、勤務内容を見て、正式に採用するか否かを決める採用方法です。
どちらの方法も、採用前に実際に採用候補のスタッフのスキルや勤務態度などがチェックできるため、採用後のミスマッチも起きにくいといえるでしょう。
ただし、人材紹介会社では紹介料がかかり、一般的に採用する人材の年収の25%~35%ほどかかるので、注意が必要です。
求人媒体を選ぶ
求人媒体には正社員、アルバイト、パートまで、幅広く募集を行うことができたり、飲食店に求人に特化した求人媒体もあります。
そのため、飲食関係や求める雇用形態、地域によって適切な求人媒体を選ぶことが大切です。 以下では、飲食店の求人におすすめの媒体を3つ紹介します。
(1)飲食店ドットコム
飲食店ドットコムは、飲食店の求人に特化しています。 掲載実績数は48,352店舗で、社員からアルバイトの採用も可能です。
飲食店で働きたい応募者や経験のある応募者が集まりやすいといえるでしょう。
(2)タウンワーク
タウンワークは求人数が多いのが特徴です。
また求人のノウハウに関するコラムを出しているため、求人を初めて行う方にもおすすめといえます。
(3)バイトル
バイトルでは10代~20代の若い層への求人が強いのが特徴です。
そのため、若い層をターゲットにしている、アルバイトの採用をしたいという方におすすめといえます。
あくまでも例ですが3つの紹介した媒体を参考にして、自店舗の状況に合わせて、適した求人媒体を選びましょう。
ハローワークを利用する
ハローワークの最大のメリットは公共サービスであるため、コストがかからない点です。
各自治体にハローワークがあるため、都市部から地方まで幅広くカバーしています。
特に、地方で採用したい方や採用にコストをかけられない方におすすめです。
「応募がこない、採用コストが高い」そんな採用のお悩み解決! |
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飲食スタッフの採用を低減させる3つの方法
飲食スタッフの採用に費用がかかるという悩みを持つ方も少なくないでしょう。
飲食店の採用コストを削減するためには、採用活動でかかっている内部コストと外部コストを見直すことが必要です。
ここでは、飲食店の採用コストを削減する方法を内部コストと外部コストの面から、3つ紹介します。
内部コストの削減を行う
内部コストを削減するに当たって重要なことは、内部コストをそれぞれ数値化することです。
内部コストでは主に社員の人件費や作業の効率が重要となります。
例えば従業員が残業をしていて、生産性が下がっていたり残業代がかさんでいないか、または採用する人材が適材適所になっているかを見直しましょう。
見直す方法としては、まず従業員の人件費を時給換算にして数値化して可視化します。
費用がかさんでいるようであれば、採用に関する業務をマニュアル化したり、採用も紹介や店舗内の求人広告などを活用し親和性の高い応募者を募り面接の回数を減らすとよいでしょう。
外部コストの削減を行う
外部コストは、外部の業者に委託している際にかかる費用であるため、店舗と契約し支払っている金額を洗い出しましょう。
主に挙げられるのが、求人広告の掲載費です。
採用単価をベースに、採用の成果に対して求人を多く支払っている場合は、求人広告の掲載先を変更する必要があるでしょう。
求人の仕方を自店舗でできる店舗内チラシや従業員の紹介によるリファラル採用にすることでコストを抑えられます。
主婦(主夫)採用でのコスト削減を行う
主婦層を採用のターゲットにするメリットは、離職率が低くなることです。
しゅふJOBによる「今話題の「主婦人材」その採用メリットとは?」によると、30代~50代の女性の離職率の割合は、20代の女性に比べ半分以下でした。
離職率が低い主婦(主夫)層をターゲットとすることで、新しく採用する必要がなくなったりベテランの従業員が増え業務の効率化やマニュアル化が進んだりするなど、内部・外部コストの削減が期待できるでしょう。
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まとめ
新型コロナウイルスの影響による人材不足で採用に苦労している飲食業界の方も少なくないでしょう。
採用にかかるコストを見直しや改善をするにあたって、1人の採用あたりにどのくらいの費用が掛かっているのか、採用単価をベースに考えることが必要になります。
そのためには、採用の仕方を見直したり採用業務の改善が必要です。 この記事を参考にして、飲食店の採用活動の効率化とコスト削減に役立てましょう。
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